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手首の骨折とLIPUS|橈骨遠位端骨折の研究を紹介

公開日 最終更新
手首の骨折とLIPUS|橈骨遠位端骨折の研究を紹介

骨折・リハビリ/研究紹介

「手首を骨折したけれど、いつから仕事やスポーツに戻れるの?」

ギプスで固定している間は、骨の経過だけでなく、固定を外した後の動かしにくさも気になるものです。

こんにちは、兵庫県神戸市灘区のなわ整骨院です。今回は、手首の骨折である橈骨遠位端骨折に対して、低出力パルス超音波「LIPUS」を併用した研究をご紹介します。

本記事は公開された研究の紹介です。当院でオステオトロンVを使用した患者さんの症例報告ではありません。

橈骨遠位端骨折とは?

前腕の親指側にある骨「橈骨」が、手首に近い部分で折れる骨折です。転倒して手をついたときなどに起こり、手首の痛みや腫れ、変形を伴うことがあります。

骨折の状態によって、整復・固定による保存療法や手術が選択されます。骨の位置や治癒の経過を、整形外科で確認することが大切です。

LIPUSとオステオトロンV

LIPUSは「低出力パルス超音波」のことです。弱い超音波を断続的に照射し、骨の形成・治癒を促進する目的で用いられます。

オステオトロンVは、LIPUSを用いる超音波骨折治療器です。エコーのように骨折の画像を撮る機器ではなく、骨の治癒を支えるための機器です。

超音波骨折治療器オステオトロンV
オステオトロンV。本記事で紹介する1997年の研究で使用された機器とは異なります。

ギプス治療にLIPUSを併用した比較試験

1997年にKristiansenらが発表した研究では、整復とギプス固定を受けた橈骨遠位端骨折の患者さん60人・61骨折を対象に、超音波を照射する群と、超音波が出ない外見の同じ機器を使う群を比較しました。

受傷から7日以内に研究へ参加し、1日20分、10週間、自宅で機器を使用しています。患者さんと評価者に割り付けを知らせない、無作為化・二重盲検・偽照射対照試験です。

画像上の骨癒合までの平均期間
研究のグループ 骨折数 平均期間
LIPUS群 30骨折 61日
偽照射群 31骨折 98日

この研究では、LIPUS群で画像上の骨癒合が早まったと報告されています。平均の差は37日でした。研究の抄録を読む(PubMed)

研究結果をどう受け止めればよい?

この数字は、研究対象となった骨折での結果です。「誰でも61日で骨がつく」「通院期間やスポーツ復帰が37日早まる」という意味ではありません。

今回の研究は1997年の保存療法の研究であり、手術した骨折や、すべての骨折の種類にそのまま当てはめることはできません。また、オステオトロンVそのものを検証した研究ではありません。

研究には機器メーカーの資金提供も記載されています。良い結果の報告がある一方で、この1本だけで現在の治療効果全体を判断せず、個々の骨折の状態や他の研究も踏まえる必要があります。

骨の経過と、手首の機能を分けて考える

画像上で骨がついてきても、手首の動かしにくさや握力の低下が残ることがあります。固定を外す時期や運動の開始・負荷量は、主治医の判断に合わせて進めます。

なわ整骨院では、医療機関の診断と医師の同意・指示のもと、痛みや腫れ、手首・前腕の動き、握る・持つ・手をつく動作などを確認し、日常生活やスポーツ復帰に向けたサポートを行います。

LIPUSの使用についても、骨折の状態や治療方針を確認し、適応を個別に検討します。機器の使用だけで復帰時期を決めることはありません。

手首の骨折後のご相談

「固定を外した後、手首をどう動かしたらよいか分からない」「仕事やスポーツへの復帰が不安」という方は、現在の診断や主治医からの指示をお聞かせください。

王子公園駅・摩耶駅から通いやすく、水道筋商店街から徒歩1分のなわ整骨院では、骨折後の生活動作やスポーツ復帰に向けたご相談を受け付けています。医療機関での定期的な経過確認を続けながら、段階的な復帰を一緒に考えます。

なわ整骨院の公式サイト・ご予約案内はこちら

参考文献・資料

  1. Kristiansen TK, et al. J Bone Joint Surg Am. 1997;79(7):961–973. DOI: 10.2106/00004623-199707000-00002. PubMed
  2. 伊藤超短波:オステオトロンV 製品情報
  3. AAOS:Distal Radius Fractures(Broken Wrist)

執筆:なわ整骨院 院長 名和大地/柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー